My Instruments

私の所有楽器

バンド仲間のうちでは、私のことを「コレクター」だと思っている人が少なくないのだが、どっちでも良いようだが、断じて私はコレクターではないのでお間違いの無きように。結構長い間、1本のテナーでやってきたのですが、あるとき違う楽器を持つと自分の演奏がちょっと変る可能性がある・・・単に音色とかそういうことではなく「気持ち」とか「アイデア」とか・・・ことに気がついてしまい、それから楽器屋さんで色々な楽器を試してみては、特に気に入ったものを手に入れる、ということをし始めて、いまではそこそこな数になってしまったと言うわけなのです。具合悪くなって使ってないものもありますが、TPOや気分に合わせてとっかえひっかえ使っているわけです。使ってないのも、愛着があってなかなか手放すのが難しいのです。というわけで、売り物ではないので悪しからず。
 尚、ここに登場しない所有楽器諸君はお見せするに値しないようなモノで....ナヌ?登場しているのもガラクタだ?うーむそうかもしれない....。

ヤマハ YTS-61S Tenor Saxophone S/N 000X (隠居)


30年近く前、僕が初めて親から買ってもらった(知り合いのミュージシャンから譲っていただいた)のがこの楽器です。製造番号が000X、一桁台!のヤマハ。製造時期は1960年代の終わり位と思います。YTS-61は当時プロモデルと呼ばれていたヤマハ・サックスのフラッグシップですが、この個体は日本の某有名ビッグバンドのために日本楽器がモニター用として作ったカスタムモデルです。市販モデルとの大きな違いは、外観上は銀メッキ+クリアラッカーの管体にゴールドラッカーのキーというコンビネーションのゴージャスな仕上げとアメリカン・ビンテージのようなデザインのオクターブ・キー(音叉のマークがない)。オリジナルのケースは憧れの名門ビッグバンドのロゴ・エンブレムのついたトリプルケース(クラ・フルートのトレイ内蔵の大きなケース)でしたが、さすがにバンド・ロゴのついたケースは譲って戴けなかった。新しいハードケースを買って、肌身離さず持ち歩いたので、その後お目にかかったいろいろなアーティストにサインをしてもらいました。ちなみに、Sonny Rollins, McCoy Tyner, Milt Jackson,Ray Brown, Plus Johnson….

中学・高校生の間、ずっとこのホーンで一生懸命練習したのでした。やっていた音楽はほとんどビッグバンド・ジャズでしたが、当時使用していたマウスピースは、主にラーセンのラバーとメタル、セルマーメタル。当時は、今みたいにマウスピースの選択肢は多くなく、日本で手に入る主な外国製マウスピースはセルマー、マイヤー、リンク、ラーセンといったところでした。

キーポストも華奢でキーメカニズムもあまりタイトではないけれども、音色の点では、その後のヤマハの優等生的なカッチリ感とは異なった味があります。アメリカではこのYTS-61は非常に評価が高く、中古相場ではいまだに$1,000前後の値がつくことが珍しくありません。ちなみに、昨年の夏ごろ、マンハッタンの48丁目にあるサム・アッシュという楽器屋さんには、コンディション9くらいのYTS-61ゴールド・ラッカーが$1850!で出ていました。ブランフォード・マルサリスも使用していたことがあります。

A.Selmer Mark VII S/N 260XXX 1977年(現役)


大学に入ってすぐに学生ビッグバンドに所属した僕は、たびたびヤマハの故障に見舞われ(ハードな使用からメカニズムの疲弊によりポスト溶接折れや閉鎖不良など頻発)、新しい楽器を買うことに。当時赤坂の虎屋の裏の通りにあったセルマー・ジャパンのショールームを訪ね、新品のアメ・セルのマーク7、1975年製、製造番号260XXXを購入。当時、アメ・セルの新品リスト・プライスはフラ・セルの倍近い値段で70万円位だったと記憶しています(30年前は管楽器の需要は今よりぜんぜん少なかったし、高かったですねえ)が、輸入時の荷ズレ(Ebキーガードのロウ付けが一箇所剥離していた)でかなりのディスカウントで購入した筈です。それでも完品フラ・セルのリスト・プライスよりも高かった。 今になって考えてみると、正規代理店で何故新品の米セルと仏セルに差額があったのか謎ですが....。

ピカピカの楽器やケースのにおいが嬉しくて、何度も何度もケースを開けては楽器を眺めていたことを懐かしく思い出します。 この楽器はその後30年近くずっとメインのホーンとして使用してきています。

マーク7は中古市場での評価は低くなってしまったけれども、神話となってしまったマーク6と較べて悪いところはありません。どうしてもマーク6がほしいという人の気持ちも理解できますが、セブンはとてもパワフルで、フレキシブルで色々なスタイルに対応する、良い楽器と思います。

B&S Series2001 S/N 0028XX (引退)

知り合いに頼まれて新大久保のD○Cさんに楽器を選びに行ったおりに、中古で展示されていたB&S2001のBlack/Goldのテナーを見て、ちょっと試奏して見たらこれがなかなか良い。凄く良いというほどでないけれども、ステージでは見栄えも大切だし、お値段も手ごろだから、と、「これくださいな」、というノリで買ってしまったのがこの楽器です。

旧東ドイツのメルクノイキルヒェンという楽器製造に歴史のある町にあるV.M.I. (the Vogtland Instrument Manufacturing Factory, INC)という工場がB&Sのブランドで作っている楽器です。ユニークなデザインのCoderaとかGuardalaも製造元はこの工場。作りはなかなかしっかりしているし、音程も音色(ガーデラより少しスイートな感じ)も良くて、2年ほど使っていました。ステージでの写真映りはコントラストが強くて抜群にカッコイイです。ガーデラを手に入れたあとで手放してしまいましたが、今も良い印象を持っています。リッピントンズに参加しているジェフ・カシワが使っていました。

/
Dave Guardala NY signature DG502BN
 S/N 607XXX (現役)

 EBayのオークションで見つけて、ミント・コンディションのものを破格の値段で落札しました。旧東ドイツのB&Sは西側へのマーケティングがどうもうまくないようで、アメリカのマーケットへの浸透が極めて薄い。それをNAMMの楽器ショーで出会った売れっ子のマウスピース・メーカー、デイブ・ガーデラに設計とコンサルテーションを依頼し、その名前を冠してアメリカ市場への展開を目論んだのがガーデラのホーンです。

マウスピースと同様このサックスは素晴らしい。緻密な設計。最近のウルトラ・パワーのマウスピース入力にも負けない管の懐の広さ。ド派手な装飾。B&Sとは共通部品も多いのですが、管の素材、キーメカニズムの設計などは全く異なっていて、音色や性質としては全く異なった楽器となっています。昨年のテロによって失われたマンハッタンのワールドトレードセンターを中心としたスカイラインや、・自由の女神の彫刻などが管全体とカップに施されています。アメリカのトップ・ミュージシャンの間でも、ブランフォード・マルサリス、カーク・ウェイラム、エヴァレット・ハープ、トム・スコット等が使用しています。

アメリカでの製品の供給体制はやはりうまくゆかず、L・A・SAXが販売代理店契約を結びましたが、そのL・A・SAX自体の経営が破綻してしまいました。いま市場に残っているガーデラのホーンは一方のマウスピースが天井知らずで高値になっているのとは対照的に、底値状態です。日本では○シモリさんが応援してくれるし、絶対「買い」の楽器だと思うのですが。そうそう、ガーデラ本人は病気でもうビジネスはできないという噂や、ドイツに居て、新たにマウスピースと楽器製造の準備をしているという噂がありますが、中古相場の操作のためにいろいろガセ情報も飛び交ってるみたいですね。一体どれが本当なのでしょうか?

Buescher 400 Top Hat &Cane (1949年) S/N 320XXX(現役)

 ずっと思いこがれていたビッシャー400のトップハット&ケーン(山高帽と杖)をアメリカで手に入れることができました。
コーン社でアメリカ初のサックスを作ったガス・ビッシャーは、1895年に独立して会社をつくり数々のユニークなアイデアをサックスの設計に活かしました。セルマーに買収される直前、ビッシャー社の技術が最高に開花したのが1942年に発表されたこのトップハット&ケーンだったと言われています。ネック下側に取り付けられたオクターブキー、演奏者の方を向いた、ロウB・Bbのトーンホール(キーガードがない)、ミスタッチを防ぐサイドキーのレイアウト、大きなフレアーでシルバーベルトによって補強されたベルなどユニークな工夫がいっぱいです。

これまでに経験してきたどのテナーとも違う印象。その当時のマウスピースを使って息を入れると、あっこれ!これ!オールド・デイズ・ジャズのテイストあふれる音色。余計な部品が少なく、良く振動する管。ピアニシモからフォルテシモまでバランスが良い!また信じられないくらい音程も良く、ピュアでカラフルなトーンをもっています。キータッチは軽く、指にキーが吸い付いているような感じです。アメリカではこの400を歴史上最高のジャズ・サックスと評価するプレイヤーやリペアマンが多いのも理解できます。セルマーが王者として君臨する少し前、沢山のサックス・メーカーが独自のアイデアや技術でしのぎを削っていた時代、その頂点としてジャズ向けに作られたのがこの楽器でした。私の楽器は1949年製。この楽器が作られて五十数年の歳月のうち直近30年近くクロゼットにしまい込まれていたということです。400の美しさは少しも損なわれていません。

日本につれて帰る前にNYブロードウェーのロベルトのショップでオーバーホールをしてもらいましたが、ロベルトも「いいねえ!これ」を連発しておりました。

個性的で素晴らしい音質を持つ、こんなサックスを手に入れることができて幸運だと思います。電気楽器と渉り合う必要の無いギグなどで大切に使いたいと思っています。
Selmer Mark VI たち (昔話)

大学在学中に18万番代のマーク6を質流れで購入、2ヶ月くらいで金に困って大学の後輩に譲り、その後、13万番代のマーク6テナーを神田の中古楽器店で発見、手付金を払ったものの、残金が払えず知人の楽器商に惜譲。と、あまりマーク6には縁が無かったのです

アンチ・セルマーであるわけはないのですが、なんとなく、セルマー至上主義みたいなのには「そうかな?」と思っているわけです。サクソフォーンはアドルフ・サックスが発明してから100年以上も経っているのに、初期のサックスと現代のものを比べると、大して変わってない。これを例えば飛行機の歴史と併せて考えると、過去100年の間に信じられない位変わっている。最初の設計がしっかりしていたといえば言えるかもしれないけれども???マーク6の設計からも既に50年近く経過しているわけで、やはり新しいホーンにはそれなりの新しい技術が使われている筈なのです。古いものから新しいものまでいろいろな楽器を経験してみると、One of the best...という言い方があるけれど、「ベスト」はひとつだけではないという気がします。

H. Selmer Mark VI AltoS/N 128XXX (現役)

あれっ?とかなんとかいいながら、最近ひょんなことからMarkVIのAltoが手元に来ることになりました。シリアル番号は魅力的だけどまだ未開拓な感じのホーンです。吹き込んでゆけば良くなるとおもうんだけど、2歳の娘がサックス吹ける年になったらあげようかなあなどと、ちょっと逃げ腰の私です。
YAMAHA YAS300P (引退)

この型番に「?」と思う方も多いかもしれませんが、ちゃんと実在したモデルであります。YAS32のカスタムモデルで、最後のPは「ピンク」のPであります!!パールピンクのボディにゴールドのキーという嬉し恥ずかしいカラーで、銀座のヤマハでほとんど見た瞬間に「これ下さいっ!」と言ってしまったのでした。しばらくステージでも使っていたのですが、もう40だしと反省してドナドナしてしまいました。
Dave Guardala Artist Series DG-400GL Alto S/N 019XX (現役)

何度も言うようだが、現代サックスのなかでも、ガーデラは素晴らしく緻密に設計され、製作されているのに、なぜ気がつかないのかなというのが私の意見であります。コルクやフェルトのへたりに対する対策としての微調整スクリューやフェイル・セーフの工夫など、良くプレイヤーからのフィードバックが反映されていると思うのであります。結果としてとてもカッチリ感のある楽器になっているし、ストレスの少ない吹奏感の良い楽器であると思います。トップからボトムまで十分なパワーで鳴ってくれる。この楽器は、新大久保の中古楽器屋(店名そのままではないが似ているな)さんで一目ぼれ。ちょっと高いなと思ったのですが買ってしまいました。大当たりでした。このモデルは結構ブライトな感じで、Dukoff D8で軽々と飛びます。

ヤナギサワ・カーブド・ソプラノ S/N 00114XXX (引退)


カーブド・ソプラノの歴史は大変に古く、80年くらい前のコーンやビュッシャー、マーチンなどのアメリカやヨーロッパの他のメーカーのものが残っています。但し古いものは音程に難が多いそうですから、安易には手を出さないほうが良いと思います。やはりあの小さな管を精密に作るのには、相当な技術が必要なのでしょう。戦後〜70年代位までの間のカーブド・ソプラノが残っていないのは、その間にサックス市場を席巻したセルマーがカーブド・ソプラノを製品ラインアップのなかに入れていなかったからだと思います。

昭和54年、ヤナギサワが日本で初めて発売したカーブド・ソプラノはヤナギサワの技術力の高さを示していました。 左小指のテーブルキーの配置がなかなか馴染めませんでしたが、ストレートのソプラノと異なりまろやかな独特の音色で管がカーブしていることで、こんなに変わるのだということが実感できました。その後、ストレートのソプラノも、ネックを交換式として、曲がりのついたネックを着けることが流行ったのはご存知のとおりです。

シルバープレートのこの楽器はかなり抵抗感のある楽器でした。マウスピースのマッチングがなかなか難しかった。とても愛着はあったけれども、Keilwerth購入を機に手放しました。

JULIUS KEILWERTH SX90II Soprano S/N 109XXX (現役)

1999年に新品で購入して使い始めてやっと最近馴染んできた感じのJKです。テナーに合わせてブラックを選んだというわけでは無いのですが、テナーとソプラノ2台ともブラックでステージに並ぶとちょっとワルそうでカッコいいです。左手サイドキーのライザーとか凝った設計の割には工作精度とかちょっと?なところもあって、キー・メカニズムがしっくりくるまで(開かないとか閉じないとか)けっこういじりました。が、音に関してはとにかく温かみがあり、存在感がある音でとても気に入ってます。最近のソプラノらしくカーブドネックとストレートがついてきますが、私の好みはストレートネックです。マウスピースはOtto Linkのラバーとか、Dukoff D7とか、Claud Lakeyとかいろいろ持ってはいるのですが、付属のKeilwerthが結構良いので、こればっかり。ロブナーのダークなリグをつけて使っております。
King Saxello S/N 835XX 1925年 (現役)
大変数の少ないサクセロです。いろいろ世間には誤解があるようですがサクセロはベルが90°曲げられたBbソプラノサックスです。 ラサーン・ローランド・カークとか、ベニー・マウピンとか、ジョン・パーセルとかが使用しているのはお馴染みですが、サンボーンやトム・スコットなども使っていたことがあります。 低音部までトーンホールが小さく作られていることにより、このベルの効果が非常に効いている感じがします。また、管が薄くて軽く、全体が振動しているという感じがします。
「音程が悪い楽器」という誤った情報だけが流布されているようですが、1920年代の製造ですから現代の楽器とは違って当然です。多くのCメロディサックスなどでも同様ですが、当時の工作精度では楽器ごとのバラツキが出るため、一般にトーンホールの開きなどは、コルクやフェルトの厚みによる調整に依存するところが大きいのです。完璧に調整すればかなり良い線まで行ける筈です。しかし、古い楽器なので調整にはテクニックが必要です。 巷に出回っている楽器はこの調整が完璧でないものが多いので、誤解を生んでいるのだと思います。私も手に入れるまで正直なところ実用楽器としてはあまり期待していませんでしたが実際に吹いてみると想像とは全く違い、素晴らしい楽器だということがわかって来ました。サクセロはこのメロウな味わいのある音色が命の素晴らしい楽器です。
Yanagisawa Baritone Saxophone B6 S/N 00125XXX (非常勤)

新大久保のD○Cさんには、ずっと昔池袋にお店があった頃からお世話になっており、20数年前大学ビッグバンド時代には商売抜きでいろいろ面倒見ていただいたこともあり、年に数回小物を買うために立ち寄りますが、最近楽器も買ってないなあなどと思いながら行った所、きれいなヤナギサワのバリが手招きしており。
ヤナギサワのサックスは作りが丁寧だし、鳴りも良いと思います。このB6というモデルは、1967年から製造が開始されて、1990年に900シリーズが登場するまでずっと造り続けられたモデルだそうです。
D○Cさんは最近再び新しいお店に移転しましたね。

H.N.White King C melody Sax S/N 54XXX 1916年(有事のみ)


 1916年製造のKingのC Melodyです。左右互い違いに取り付けられたLow B、BbのキーやG#トリル、後方に空けられたG#・Dのトーンホール、シンプルなオクターブキーメカニズムなど、この時代のアメリカン・サクソフォーンの特徴が見られます。Cメロディ・サックスはキー(調子)がCであることからそう呼ばれているわけですが、C調の楽器が開発された経緯は1910年代の終わり頃、戦争や禁酒法などの影響により大きなバンドが公の場での演奏する機会が減り、家のなかでギターやピアノと一緒にこじんまりと演奏を楽しむ人のために、楽譜を共有できるC調のサクソフォーンの需要が生まれたのがきっかけと言われています。10年余りのブームの後に衰退してゆき、今日ではCメロディを製造しているサックスメーカーはありません。テナーサックスに近い管の長さを持ちながら、アルトサックスよりもボア径が狭い為に、テナーともアルトとも異なった音色を特徴としています。

 この楽器は、完璧なレストレーションを施し、新品と変らないプレイング・コンディションを保っています。フィンガリングはさほど奇異には感じませんが、正確な音程を得るためには、ゆきとどいた調整と奏法によるコントロールが必要です。また、良い状態を保つためにはこまめな調整が必要です。ほとんどメンテナンスフリーの現代の楽器に慣れている者にとってはシリアスに演奏するのには適していませんが、80年近く前のサクソフォンの音色がどんなふうだったか、を知るのは楽しいものです。ジャズの黎明期にXXXXやコールマン・ホーキンスらがテナー・サックスではなくCメロディサックスを使っていたことはあまり知られていませんが、現代の派手でパワフルなサックスのイメージとは異なり非常に人声に近い印象を受けます。現在でも、C Melodyを使っているサクソフォーン・プレイヤーは居て、最近聴いたのでは、Dave Pietro というプレイヤーのスティービー・ワンダーの曲集のJAZZアレンジメントでStandard WonderというCDはお勧めです!http://www.davepietro.com

下の写真のようにテナー、アルトとサイズを較べるとお手頃さ加減が判ると思います。

JULIUS KEILWERTH SX90 Staraight Alto S/N 98XXX (現役)

 インパクト十分なルックスです。 ケースも長くて持ち運びは不便です。 しかしストレート管を吹いてみると大変ユニークな音響的特性に驚くことでしょう。 特に低音部を吹いている時には縦に長い気柱が身体と平行して振動している感覚や、木の床のホールなどでは、床から帰ってくる木の響きは新鮮な感覚です。 通常のアルトよりもはるか下方に開いたベルはアコースティックには相当な効果を生み出します。 恐らくあのCONN-O-SAX などでも似た感覚なのではないかと思いますが、見た目以上に明確な意図があって製作されていることがわかります。 従って、この楽器のポテンシャルを発揮するためには生音で使用されることが前提であろうと思います。 ベル部分は、通常のアルトのベルが流用されており、U字管部分が直管で作られています。 JKのSX90という楽器は作りは多少雑ですがとてもバランスのよい、恐らく真鍮の質も音響的に良い楽器です。個体差かその形状由来のものかわかりませんが、大変ヌケの良い楽器です。

Jinbao JBSST-420 Sopranino Customized (現役)

中国製サックスの製造技術はここ数年の経済発展と比例するかのように、急速に進歩しています。 欧米のブランドが相次いで中国に製造拠点を移す中で技術移転が進んだものと思われます。 とはいえ、トーンホールの引き上げやカラーの仕上げ、バネ、スクリューの孔開け、カップの座り、最終調整などはおっと!と思うところも多くあります。 S/Nの打刻も無いので品質管理やカイゼンの意識も希薄だと思います。 新品のニーノを試してみるとやはりいじった方がよさそうなので、早速バラしてついでに管はハクリ剤でディラッカー。 キーはプラスチック製で小さく押えにくいので全部削り落として標準サイズの真珠母貝のキーを接着。 トーンホールを仕上げて組みなおそうとしたら、スプリングピンがポロポロ抜ける!良く見ると新品なのに錆が浮いたりしてる。作り直し。 パッドのシートとオクターブパイプまわりを直して、関連調整をすると...ちゃんとした楽器になりました。気に入りました。 付属のMPはソプラノのリードもフィットして優です。

Benedikt Eppelsheim  Soprillo S/N 18X (現役)

ミュンヘンのエッペルスハイムは独自のデザインのコントラバスサックスやサブコントラのTUBAXなどオタク心を擽る楽器を高い製造技術で生産しています。 Soprilloはいわゆるソプラニッシモ・サックスでBbキー、ソプラノの1オクターブ上の音域を持つ世界最小のサックスです。 当初製造は極めて少なく、市場にもなかなか出回らなかったのですが、かなり流通してきました。 LAの某IWというブランドでサックスをリリースしている会社から購入しました。 小さいが構造はソプラノサックスと似ており、運指も同じ、下Bbから2オクターブ上のEbまでの音域となっています。 ベルはやや前方にティップしています。下の写真でもわかるとおり、オクターブベントは管の上には収まらず、マウスピース上に置かれています。 このため専用のマウスピースを使います。非常にアンブシュアにシビアで音程を合わせるのが難しい楽器で、オクターブキー+のAあたりから上は極めてチャレンジングです。 ソプラノでフラジオを吹いているイメージ。  当たったときの音色は予想外に素晴らしくサクシーな音です。 まだまだ慣れが必要で、超音波は周囲にはなはだ迷惑ですが、チャレンジし甲斐があり練習が楽しくて仕方がありません。 息の流速をあげる必要があるので、アンブシュアも強く噛むことになり息も使います。付属のマウスピースはドイツのZinnerの専用マウスピースですが、もう少しバッフルを高くしてステップにするとか、フルーテッドにするとかで流速の改善ができるかもしれないと思います。 付属のマウスピースのデザインはチェンバーをめいっぱい取ってあります。恐らくキンキンを抑えめにという意図だと思いますが。 作ってみようかな。左は写真は直管4兄弟。

その他の楽器など

Pearl Alto Flute PF201SU S/N 112XX (現役)

日本国内でのパール楽器のアルト・フルートの型番はPF201ESUとなっていて所謂Eメカニズムのついている物となっていますが、アメリカではEメカニズムはカスタム扱いとなっています。(アメリカでは、Eメカニズムの必要性をどーのこーの言う人はほとんどいないようですね。)このパールのアルト・フルートのデザインですが、価格のわりにとてもよく出来ていて音色も良い楽器となっています。パワーもあって、ジャズにも申し分ないと思います。

EWI-1000/EWV-2000 (非常勤)
もうかれこれ10年位前に○インドパルで新同中古で衝動買いしたのでした。Advanced Pro...をメインで使っていたのに、ちょっと。ブレッカーがスタイナーフォンを吹いてるのを見たからかもしれませんが。何やら奏法には違和感があってなかなか慣れることができませんでした。AKAI純正のハードケース付ですが、これが重いし、狭いステージやスタジオでは置き場所に困ります。そういえば最近ほとんど登場の機会がありません。
AKAI EWI3020m

演奏感もサイズもとてもピタッと来て好きなんだけど、持ち運びが大変。専ら自宅用。

AKAI EWI4000S

なんといっても楽ですねー。これ一本でいけるのは。先日宮崎さんも車にポンと積んどいてすぐ使えるのは楽ですよねーって仰ってました。バッテリーのモチがあんまり良くないのと、バッテリーケースの内フタがチャチなのがなんとも。ライブ中に切れた伊東さんのEWIの電池変えましたがフタもツメが折れてて、スポンジとガムテで押さえてありました

YAMAHA WX11 (非常勤)
キータッチとか、外観とか、手に持ったときの重さとかはリリコンの方が好みだけれど、気難しいところが無くていいですね。 少しデリカシーの足りないところは奏法でカバーしましょう。ちょっと使わないうちにスイッチが反応しなくなりました。

YAMAHA WX5 (現役)

Lyricon I とほぼ同じ長さです。どうもWXシリーズは立ち上がりがストンと来てなかなかうまくいきません。センサーの感度とかいろいろやってみるんですが...。やっぱインターフェースのところをリリコンと比較してはいけないでしょうか。最近音源をDSIのMOPHOにして試してみています。MOPHOは凄くいい感じです!あっそれから外観はリリコンI仕様のミラー&パールキーですが、これはEddie Davisという人が作っているシールを張り込んだものです。http://www.egraphicworld.com/WX5.htm

Lyricons
Computone Lyricon I (現役)
Computone Lyricon II 2台(非常勤)
Computone Wind Synthesizer Driver 2台 (有事のみ)
Advanced Pro Audio Design Wind Synthesizer Type II (現役)
リリコンよりも電化製品としての完成度、安定度は高いように思います。やはりMade in Japanだからでしょうか?リリコンIIと同様音色にはインパクトが無い(しかも1VCO)ですが...。管体はとても良くLyriconをコピーしております。内部のボードはまんまコピーです。トランスデューサのLEDは本家リリコンが赤外線であるのに対して、可視光の赤いLEDです。外からは見えませんが、電源ONにすると中ではずっと赤く光ってます。 外見で唯一の違いは、エンドピースがアルミ製ではなくプラスチックであることと、トランスデューサー部にAdvanced Pro...の刻印があったこと、キー接点の形状が異なることくらいでしょうか。マウスピースはBrillhartではなくてヤナギサワ製で、接続部分はクラリネットのようにコルクの帯となっています。イ○バシで新品を24回ローンで購入した当時は嬉しくて毎日練習しておりましたが、今はほとんど使われること無く、時々生体実験に駆り出される以外はお休みいただいております。
Roland SP-V355 (引退)
あれはまだ世の中にMIDIの「ミ」の字も無かった頃のこと、そしてLyriconはアラブの石油王しか買えないような値段だった頃、我が日本にはこんな素晴らしいテクノロジーがあったのです。単音楽器のピッチを拾ってCVに変換、2VCOのアナログシンセが素早く追従してくるという、画期的なシンセでした。PVシンセ(ピッチ・トゥ・ボルテージ・シンセサイザー)と呼ばれ、一部の物好きなサックス奏者の間でちょっと流行りました。新モノ好きの我がバンドのアルト奏者が当時購入し、何年も経ってから譲り受けました。惜しいことですが不動となってスペース確保のため数年前に廃棄処分としてしまいました。(合掌)
Oberheim 2 Voice FVS-1 (有事のみ)
 最近のデジタル音源に慣れた耳でちょっと聴くとあまりにもシンプルな音で、携帯の着メロ音より淋しいかと思われたりしますが、さにあらず。やはり70〜80年代の電気音楽シーンでは大活躍しただけのことはあって実力は大したものです。リリコン・ドライヴァの音源としても随分活躍しました。とにかく重いし、温度変化に弱いので、出動する機会がほとんど無いのが残念です。我が家ではごくまれに電気を通してドライヴァと仲良くしています。実はほかにも所謂ビンテージのアナログ・モノ・シンセが2台ありますが、どちらもHz/Octでドライヴァで直接コントロールできないため、お蔵入りです。(キーボード上手に弾けないのダ)
YAMAHA TX81Z (隠居)
WX7が出た頃は、ブレスコントロール向きのお手軽な1UのMIDI音源としてもてはやされました。大ヒットのDX7と同じFM音源で使える音も結構ありましたね。いまや、ほとんど出動の機会がなくなってしまいました。
YAMAHA VL70m (現役)
FM音源とか、PCM音源とかいろいろ出てきて、初めて聞いたときは「バーチャル・アコースティック音源って何だ?」いよいよシンセの世界も、バーチャル・リアリティでヘッドホンの中だけ生に聞こえますみたいなことかと思ったが、違いました。いろいろな楽器の発音原理をシミュレーションするという、シンセサイザーの世界も変ったものです。WXおよびピッチライダーのスレーブとして、活躍しております。ウチのバンドのベーシストはベース音源として使ったりしております。
Roland JV-1010 (隠居)
これは、DTMでヒューマン・ボイスのコーラスの音が欲しくて買った(要エクスパンションカード)のですが、スキャットの音色にしてウインド・コントローラで吹くと、ステージなんかでウケマスヨ!って....でも、キーボードやリードシンセなども実際かなりリアルで「立った」音が多いので気に入っております。
IVL Pitchrider Model 4000 MarkII (隠居)
カナダのIVL社が80年代に販売していた、Pitch-to-MIDI コンバータです。単音楽器の音程をMIDI信号に変換するもので、ベンドによるピッチ変化もフォローできるし、あらかじめ設定したインターバルでピッチシフターやオクターバーのように使うことも出来ます。 
ファンクションセレクトで設定できるパラメーターは以下の通り。
MIDI Channel/Pitch Bend/Transpose Interval/Transpose Type/Lower Note Limit/Upper Note Limit/Dynamics Scaling/Dynamics Type/Input Sensitivity/Program Change/Sustain Limit/Preset Save/Delete
私はソプラノ・サックスに着けたAKGのマイクからの音声をPitchriderに入力し、VL70mをスレーブとして生音とミックスしてエフェクター的に使用しています。故障すると多分もう直らないので少し心配ですが。



直線上に配置